ぶたびより

酒を飲み、飯を食べ、文を書き、正解を生きたい

勉強メモ:Cryptogenic Organizing Pneumonia

 5万年ぶりの更新。近況、J-oslerとJ-goalというまるで臨床能力の向上に寄与しない事務作業に追われている。恋活が終わって婚活に移行してぼちぼち結婚か、というところまで来ている。挨拶イベント消化済。専門医関連の書類提出に追われていると伝えたのだが、なぜか今週に面談が入った。指導医氏は私につくばに行くことを期待しているようだ。ライフイベント発生中なので今後の予定は決まらない。

 散々こき下ろしておきながらも、J-oslerの病歴要約を作る作業では調べものをするために元来自分には好奇心があって知識を収集することが好きだったことを思い出すという効果はあった。自分は知識ベースの何かが好きなのだと思う。

 不平不満たらたらと指摘されている私の現状の病棟業務の内訳。80%が老衰対応(誤嚥性肺炎、尿路感染、ERCPしない結石性胆管炎や胆石性膵炎、褥瘡感染、心不全や腎不全といった慢性臓器障害の増悪・電解質異常など、本資質的には老衰の疾患群)、5%程度それぞれ、①アル中関連②その他のメンタル(精神発達遅滞やうつ病や不安神経症認知症などの精神疾患をベースにした身体症状症で精神科的にも内科的にも問題ないとされるが自宅で生活できないと執拗に訴える人々)③ふつうの人の腎盂腎炎や肺炎④本当にそのほか(内科疾患ではないが比較的ベースの状態が良いもの、脳出血ラクナ梗塞)これらは大体流してできてしまうので、内科疾患のスキルは上がらない。

 家庭医療のスキルとされるものは手技でも知識でもないので自分の好奇心とマッチしなかった。家庭医療に向いていないというより、知識や手技よりも、家庭医療的スキルを重んじるところが自分にとって向いていないのだと思われる。家庭医療の領域に属することで自分に興味を持てるの範疇はあるが、そこを中途半端にしつつ日々の仕事をこなしている感覚が前に進んでいない焦燥感として表れている。

 愚痴はこのくらいで勉強ネタ。肺炎患者は多いが、治らない肺炎で考えるものとして、結核(安易なキノロン使用で見逃されていないか等)、肺がんなどなどあるが、器質化肺炎だろうと思われるものにも偶に遭遇する。器質化肺炎はイマイチつかみどころがなくて、癌や心不全結核で肺野に陰影があるわけではなく、間質性肺炎というわけでもない。抗菌薬は奏功しなくて、ずっと炎症反応が上昇している"何か"みたいな感じである。当院はステロイド使用閾値が非常に低く、そのために引継ぎ患者で苦労することが度々あるのだが(なぜPMRの診断になっているのか不明で多関節痛にステロイド、不明熱に対して安易に感染症を否定したこととしてステロイドを開始、誤嚥性肺炎になぜかかぶっているステロイド)、反面教師と思っているので、きっとステロイドの奏功する病変だと思いつつ使用する閾値が上がってしまう。つい最近NEJMに特発性器質化肺炎(COP)のレビューが載っていた。

 しかし読んでみてもぱっとしない。病理についてこまごましたことが載っているが、そんなの興味ないし、私が大抵気になるのは目の前のその良く分からない浸潤影のあって抗菌薬に反応しない肺炎患者に勝手にステロイド入れたら非常識かどうかである。

 ということで診断部分についてみてみるも臨床検査結果は非特異的ですとしか書かれていない。赤沈、CRP値、白血球数などの炎症マーカーは頻繁に上昇するが、特異的なマーカーもないし。 膠原病とかの数週間から数ヶ月前に発症することがあるようで注意とかぱっとしない。CT所見も非特異的。非特異的な所見が多くて除外診断なので、感染症好酸球性肺炎、肺胞出血などの他の疾患との鑑別で気管支肺胞洗浄液 (BAL)検体の分析が推奨。BAL検体の細胞分析では、好中球や好酸球数の増加を伴うリンパ球性肺胞炎を示すことが多いとのこと。へえ?? リンフォサイティックのあるべおらー炎なのに好中球と好酸球の増加とは(とは?)自分でやらないから知ってる必要もなさそう。

 さて、除外診断なので、鑑別疾患が大切だろうということで。COPの鑑別診断には、臨床的・放射線学的に類似した特徴を持つ幅広い疾患あり(そらそうよね)。COPの最も重要なミミックは市中肺炎。多くの場合、抗生物質治療に対する反応の欠如でCOPが想起される。他に放射線検査で変動する?(fluctuating)多巣性の実質のconsolidationを見た時の鑑別について、過敏性肺炎(既知の病因物質への曝露)、好酸球性肺炎(血中または肺胞好酸球濃度の上昇)、肺胞出血(喀血)、血管炎(ANCAの存在)。肺リンパ腫および浸潤性粘液性腺癌は、COP と同様の放射線学的外観を示すことがある(気管支造影による斑状、結節状の圧密部位がある)。器質化肺炎と非特異的間質性肺炎を同時に、または連続して発症した場合は、根本的な原因(膠原病、抗シンテターゼ症候群、過敏性肺炎、薬剤毒性など)を検索する必要がある。とのことで、スクリーニングでどこまでとるかは難しいなと思った。認知症高齢者で気管支鏡の適応もないだろうみたいなケースなら自分のところで見るかもしれないが、いずれにせよ呼吸器内科外来に外勤医が来てくれているのであれば、緊急性もないし、一度専門医の外来にかけてからステロイド入れたくなってしまうんだけど、私の感性が変なのか。

Cryptogenic Organizing Pneumonia (nejm.org)