ぶたびより

酒を飲み、飯を食べ、文を書き、正解を生きたい

岩とリテラシーとおねえさんの話

上越新幹線が大清水トンネルを越えると天気は突然に崩れた。からっとした青い空と紅葉した木々に小鳥がちゅんちゅんなく関東の秋とはうってかわって、谷川岳にぶつかった雲から降る雨はピシピシと車窓を叩き新幹線のなかは薄暗くなった。どんよりとした天気は新潟まで行っても変わらなかった。新潟駅から特急いなほに乗り換えて、日本海沿いを北上して酒田に向かった。新潟と山形の県境付近は笹川流れと呼ばれる日本海ぞいに奇岩の連続する名勝である。この特急いなほの通る道に並走する国道345号線は数度車で通ったことのある道ではあったものの、夕日をみようとするたびに「夕日をみるな、前をみよ」「お父さん、わき見しないで」等の看板が頻繁に表れるため景観に集中できたためしがなかったから、今回の出張が実質初めて笹川流れを堪能する機会となったのであった。

車窓から外を見ていて、あつみ温泉周辺では岩が黒っぽい一方で村上周辺では黄色っぽいことに気が付いた。シームレス地質図というものをネットで発見したので、それを参考にすると、おそらく黒っぽいのは斑レイ岩のようだ、黄色っぽい岩は地質図によれば「約1億年前~6500万年前にマグマが地下の深いところで冷えて固まった花崗岩質の深成岩(新期領家)」とかかれている。しかし、花崗岩が黄色っぽいというのはイメージと違うしよくわからない。さらに、あつみ温泉周辺の斑レイ岩疑いの岩々を見ていたら、どうも鳥海山の山頂の溶岩ドームの黒っぽさに似ているような気がしてきた。鳥海山を調べてみると、玄武岩安山岩からなっているようで、岩に含まれるSiO2の質量%の多寡でこれらの名前が決定されるようである。鳥海山を構成する玄武岩について調べてみると、深成岩では斑レイ岩に対応するとある。ゆとり世代だからか義務教育の地学でこの辺りの話(マグマ由来のあらゆる岩は火成岩で、ゆっくり冷えたら深成岩、すぐに地表でひやされたら火山岩で、どちらもSiO2比率で分類するらしいこと)を勉強した記憶がない。ところで、あつみ温泉から鳥海山までは50kmほども離れている。SiO2比率が同程度だからといって同じマグマ由来と考えるのは少し乱暴なのだろうか。しかし近くに他に火山はない。まずそもそもなぜSiO2含有量で分類するのでしょうか、岩石中のSiO2の含有比率からどこの岩がどこのマグマ由来かわかるとかそういった利点、あるいは他の成分は計測が難しかったとかそういう歴史的経緯でもあるんでしょうか、おじさんにはわかりません。わからない分野について調べるの大変なんだなと実感する。自分で学習するために必要な最低限のリテラシーは、自分で獲得するのが容易でないなという印象がある。

 

最近ろくすっぽ勉強していなかったので勉強会の申し込みをさっきした。自分で何かをするだけのベースのリテラシーもなければ、モチベーションも持ち合わせていないからだ。

①JPTEC

②第5回JSEPTIC-臨床研究セミナー@東京

③EBIC@群馬 キャンセル待ちになってしまった……。

そうだぞ、婚活パーティーを探すよりまず立派にならないといけない。いや、まって、ひょっとしたらきれいなおねえさんに勉強を教えてもらえるかもしれない。そうだ、それだ。

山形からの帰途、関東に入ると雲は晴れて、紅葉した山々がとってもきれいで、それらはまるでまだ見ぬきれいなおねえさんと私の未来を象徴しているようで……。いや、そんなことはないか。