ぶたびより

酒を飲み、飯を食べ、文を書き、正解を生きたい

2018-01-01から1年間の記事一覧

なってしまう話

「先生は外科になるんですか?」飲み会の翌朝、無心で処置のための回診車をきいこきいこ引っ張りながら病棟を歩いているとそう訊かれた。「いや、何だか総合診療医になるみたいですよ、わたし」「へえ」 最近受ける質問のほとんどは、「街コンってどうなんで…

街コン:地獄篇

introduction 街コンについては先日記事に書いた通りである。私は絶えず尿意の話をして、五苓散をビールとともに飲んで女性陣をドン引きさせた。帰り道、落ち葉の舞う駅から家までの7kmを歩きながらなぜ自分はこんなことをしているんだろうとひどく悲しい気…

君がウキウキしてるのは

どうしてもテンションの上がらない時がある。さすがに人前に出てずっと苦虫を噛み潰したような顔しているほど不躾ではないので、誰かと話していればなんとなく型通りにニコニコして、そのうち自分の表情に引きずられて気分が回復してくるのだが、誰にも会わ…

生活について

「20代半ばにしてすでに痛風とは、いったいどんな生活をしているんだい、君は」 忘年会シーズンが来た。一杯目を生ビールではなく、ハイボールを注文すると大抵「あれ生じゃないのかい」と訊かれる。「ええ、自分痛風もちなんですよ」と答えると冒頭の疑問文…

おむつの私と雲のむこうの神様

だんだんと日が短くなったことが、朝の寒さで6時ころに起きた時の窓の外の薄暗さでわかる。通勤時、利根川を越える国道の橋から遠くに見える山にへばりついたスキー場からの呼び声が聞こえる。そうだ、もう年末だ。日々やるべきことや考えることたちの重みが…

病気の話の続き

昨晩、夜中に一人エアコンの音だけがさみしく響く医局のデスクで当直の外来が途切れた時間に最近病気について思うことなど書いておりました。医学部に来たくなかったというのは、醜く薄暗く恥ずかしい優越感によるものの可能性があるという話、人を助けたい…

病気の話

こんばんは当直です。外来が途切れた隙間に書き進めていきます。 突然ですが、働く前、僕の周りには「人を助けるためにお医者さんを目指しました」なんてことを表だって話す人はあまりいなかった。もちろん、何かを表明することは、何かを思っていることとは…

街コン戦記

【症例:26歳 男性】 【主訴】秋風が寒い 【現病歴】朝、iPhoneのストラムの音で6:45に目が覚めた。調子のよい時はこうなのだが、調子が悪い時は悪夢で、あるいは飲みすぎた日などは嘔気で、朝5時に目が覚める。死にそうに眠いのに、妙に動悸がしたり、得体…

立ち去ることが難しい話

学生の頃に研修医じゃまだくん(https://www.amazon.co.jp/研修医山田-じゃまだ-君・トリロジー-茨木-保/dp/4895904024)を読んで絶対に働きたくないと思った。そこでは夢を持って医学部に来て卒業したのにも関わらず、働き始めてからまともに指導もされずあ…

佐渡島旅行記

「進行方向右手に見えますのは、両津港北防波堤灯台でございます。灯台マニアの中ではおけさ灯台の名前で有名です」 その日の佐渡汽船おけさ丸は前日の台風の影響かひどく揺れており、僕はもともと二日酔いだったうえ、トラベルミンを持ってくるのも忘れてい…

岩とリテラシーとおねえさんの話

上越新幹線が大清水トンネルを越えると天気は突然に崩れた。からっとした青い空と紅葉した木々に小鳥がちゅんちゅんなく関東の秋とはうってかわって、谷川岳にぶつかった雲から降る雨はピシピシと車窓を叩き新幹線のなかは薄暗くなった。どんよりとした天気…

あなたはあなたが好きだから

昨日は意識の高い勉強会に参加していた。学生時代に最底辺学生をやっていた僕にとって、いわゆる意識の高い医学生というものは、どこか近寄りがたく、どちらかというと醒めた目で見てしまう方だった。 人生のアウトカムが生涯年収であるならば、医学部に来て…

天気の良い日に山に登った

先週末は天気予報が晴れだったため、前日に近場の低山に登ることを決めた。ADHDマンなので衝動的に予定が決まる。飲み会の翌日だったため、例に漏れず下痢だったが気合を出し、便は漏らさずひっこめた。えらい。ありがとう正露丸。アードベックの匂いがして…

なにものにもなれない話

先日パソコンを近所のヤマダ電機で購入した。今まで使用していたパソコンは、タブレット型なのにもかかわらず、画面はひび割れてマウスがなくては使い物にならなかったし、そもそも充電のためのケーブルをなくしてから半年以上が経過しており、つまり半年以…