ぶたびより

酒を飲み、飯を食べ、文を書き、正解を生きたい

立ち去ることが難しい話

学生の頃に研修医じゃまだくん(https://www.amazon.co.jp/研修医山田-じゃまだ-君・トリロジー-茨木-保/dp/4895904024)を読んで絶対に働きたくないと思った。そこでは夢を持って医学部に来て卒業したのにも関わらず、働き始めてからまともに指導もされずあらゆる理不尽に耐えている研修医が描かれていた。ろくに指導しないくせに何かあっても責任はとらないと明言する指導医、指導されないからあらゆることに自信がない、医学的正しさに関係なく病棟ルールを押し付けてくる看護師、理不尽な要求をしてくる患者家族、誤診と訴訟……。

僕は田舎で働いているおかげか、患者さんにも「先生におまかせで」といった古風な人が多いし、病状を知りたいタイプの人も丁寧に説明すると満足してもらえており、指導医は教育的だし、方針決定に関する裁量もある程度与えられており、「気が付いたら方針が変わって知らない指示が出ており、カルテ書いておいてといわれても方針変えた根拠も不明だ、患者を診てないえらい先生がカンファで言ったからかな、そもそもカンファなんて僕ウトウトしてるから知らないや」みたいなこと(大学病院で多々経験してきたこと)はない。想像していたよりはるかに楽しい研修生活を送られている。勝利。大学病院向いていない。

「入院患者の病状をご家族に説明する時にこちらは出来るだけ低姿勢で説明してるのに向こうは腕を組んで営業ノルマを達成できてない部下の報告を聞いてる営業部長のようにやたらと偉そうに踏ん反り返っててタメ語で上から目線で聞いてきてガン飛ばしてくる家族は一体何様なのだろうか」@tsuneeet

というツイートが流れてきた。(注:引用なので著作権的には問題ないはずです)へえ、そんなこともあるんだねえと思ったけれど、これに対して、客商売だからと言っているコメントがついていた。ははあ。

少なくとも日本における医療について話す場合には、僕らには応召義務があるから、いやだからとか、眠いとかいう理由で基本的には断れないし、ちょっと違うよなあと感じてしまう、さらに客といったところでそもそも必要な医療費の1-3割しか払っていないわけで、残りの七割は僕ら医療者の財布からも出ているわけですよね。

けれども、結局他の職業だって明文化されていないだけで、応召義務みたいなものはあるはずなんですよ。深夜の地方都市のコンビニ店員は、泥酔したヤンキーが怖くてもレジで品物ピッピしなくてはならない。病院の事務当直の人だって、病院にきたとてつもなく厄介な泥酔患者の相手をしたくないからって会話しないわけにはいかない。

多くの人が厄介ごとから逃れられない中、労働していることを考えると、仕事でかかわる他人に対する敬意って大切だなと思うし、ファミレスで店員にため口で話す人はやっぱり嫌い。嫌われるってつらいよ。

僕? 僕は誰にも愛されない。ちんちん3センチだからね。

あ、他人に敬意を払っているので丁寧語で訊きますね

3センチだってこと知ってますか?(読者らはすっと立ち去る)