ぶたびより

酒を飲み、飯を食べ、文を書き、正解を生きたい

それでも年は明ける

「36歳女性とカップル成立したのはいいけれど、そのあと2回デートして、結局一回りも違う女性を連れて歩いていると衆目を気にしてしまうし、趣味や職業など文字に起こせばいい女性なんだけれど、少しずつ距離を置いていこうと思うんだ」

5日連続飲み会の3/5、先日に一緒に婚活パーティに行く羽目になってしまった研修医氏と反省会の2回目をした。何だかそのほかの出会いがうまくいっているようで何よりである。3人同時進行だと話していた。しゅごい。僕はと言えば、クリスマスイブにデートに行っておきながら、26歳で交際したら十分に結婚の可能性も考慮しないといけないし、まだ接触する女性のNが足りてないし、今はそういう感じではないなあと二次会をせずにノンアルドライバーとして女の子を車で家に送ってあげたことを思い出して、「楽しそうでいいなあ」と言った。店の看板料理のローストビーフはとてもうまかった。飲み放題にすればよかったのに、たいして飲まないからと一杯ずつ注文して、気が付いたら一人あたりの支払が6000円を超えていた。雑に予測を立てて、雑に失敗していき、考えているうちに日々が僕の意志とは無縁に過ぎていく。

 

「ブログ読んでるよ」

5日連続飲み会の4/5、前に座る27歳男子が話す。Yes or Noの疑問文に対する答えはハイかYesしかない。気が付いたら同じ日に飲み会が2つ入っていた。2時間ほど遅刻して1次会の二つ目に行く。同期氏は私の街コンの惨状を知り尽くしている。そのあとは追いつけ追い越せで、菊の露と白州(価格据え置き、シングルなのにダブルくらいの量が出てきてお得)をカッパカッパ飲んでいたからいい話を聞いたかどうかあまり詳細に覚えていない。刹那的に生きている。君のことをバイセクシャルかもしれないとおびえていた街コン歴戦の猛者の36歳男性が不憫でならない、そんなことを言われた気がする。

 

「ブログ読んでます」

5日連続の飲み会の最終日、新潟周辺で雪を落としつくして関東にとどくころには極限まで乾いた風がぴうぴうと吹くなか肝臓の調子が悪いのかいつもより3倍くらいの重さに感じる体をなんとか引きずって飲み屋にたどり着き、名ばかり幹事として後輩に仕事のすべてを任せてから、死んだ魚のような目をして私はヘラヘラした顔でえらい先生の話にたまに相槌をうちながらハイボールをすすっていた。隣の24歳女子大生は語り続ける。

「最初からママを求めているところに大きな問題を感じます。それではうまくいくはずがありません。そもそもモテようとする気概をあまり感じないですね。ちんぽが2横指である話や尿意のパーセンテージについての話はしないで黙っていれば街コンにいかずとも出会いは見つかるはずじゃないでしょうか。街コンでゲイのふりして隣のオッサンビビらせるのも楽しいですかね。なんというか、独り身になってから彼女持ちの余裕とでも言えるものはすっかり失われ、日々SNSで話す内容といえば口調も含めて自己肯定感の低いインキャのメンヘラオタクの一人語りそのものです。本当に気持ち悪いですね。」「あ、あの、ぼく、ぶしつけながら女子大生に気持ち悪いって言われると気持ちよくなるタイプなんですが、もう一度言ってもらってもいいですか」「そういうところです」なんだか涙が出そうになった。気持ちいいはずではないのか? よくわからない。童貞膜という単語はとても素敵だし大切にしていってほしい、とそんなエールをもらった。

 

「自分のいけてない性を見つめられるタイプのいけてないマンだね、自分のいけてなさを認識しながらそこにとどまる理由がよくわからないね」

私は真野鶴をお冷を本来は入れるべきコップになみなみと注いで飲み下した。これはどの忘年会の記憶だっただろう。テーブルのはす向かいに座る45歳(でしたっけ)の指導医氏がいつものちょっと悪い顔で話す。僕は何も答えられない。

 

わからない、何もわからない。五苓散の力をかりて酒を尿に変えつづけ、肝臓を苛め抜いた忘年会シーズンが終わった。何もわからなくても、そろそろここから動き出さないといけない。私のメンタルが終了するか、周囲の人間が僕にあきれ果てて見放す前に。