ぶたびより

酒を飲み、飯を食べ、文を書き、正解を生きたい

111回医師国家試験の話

受験した直後に書いた文章です。国家試験が近く懐かしいので貼ってみます。

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3日間行われる最後の医師国家試験である111回医師国家試験が2/11から2/13まで行われた。次回以降の国試を受ける人の参考になるかもしれないし、ならないかもしれないけど、卒業旅行が始まるまで暇な時間を持て余しているので国試周辺の話をポロポロ書いていこうと思う。

僕の大学では国試会場近くのホテルに前日入りした。前日の朝イチで大学を出発し、昼頃から行われるラストメッセージあるいはラストV講座を聴くことになる。

ラストメッセージ精神安定剤的な側面が多そうだった。ぼくは普段はメック派なのだが、ラストメッセージの申し込みを忘れてしまったためにラストV講座を受けた。ラストメッセージの講義資料も見せてもらったが、分量的にはそう多くなく、内容的にも最終講義やサマライズと多くは変わらないように思えた。結局、直前に新しい内容なんてなかなか頭に入らないのだから、覚えたことを忘れていないかを確認するのがメインで、少し新しい出そうなところを知らせるくらいがベストなのかもしれない。

ラストV講座はとにかく分量が多い。200ページほどもある資料を前日に復習するのはほとんど不可能であり、たしかにその資料からの出題も多いのだが、何故メックのように資料を早く渡さないのか不思議だ。精神安定よりも出題されそうなテーマを伝えることに重きを置いていることから、講義資料の内容を受講しない学生が知ることを快く思わないからだろうか。内容的には敗血症の新しい定義は当たっていたし、他にも出そうなところはもちろん出た。自分で勉強しないところでここが出ると教えてもらえるのはありがたい。

今年は総じてKSRのサマライズがよく当たった。ウイルス感染で後頸部リンパ節腫脹だとか、心筋炎で腹痛なんてのは自分で勉強していたらなかなか覚えようと思わない知識だと思う。(注:今思うと重要っすよね、これら。伝染性単核球症vs溶連菌感染症は臨床的には大切だもんね。心筋炎も雑に胃腸炎とか言って帰宅にすると死ぬから大切ですよね。ミトコンドリア脳筋症の型とか覚えるよりも普通に臨床医やるうえで重要なことだろうし、そういう方向に国家試験がシフトし始めているのかもしれない)ただ、去年(注:110回の時)はメックがあまり当たらなかったという話も聞いたし、どっちがいいのかは年によるのかもしれない。ターゲットの方が分量が少ないと聞いた。それなりにQBをまわしてあって、もう一周する時間はなかなかないし何していいか分からないような人にとってサマライズで時間を潰すことはよく出るところの手軽な総復習になり泣きながら直前期にQBのエンドレスマラソンするよりも精神衛生面からも良い。前に確実に進んでいる気持ちになってくる講座だった。KSRの臨床小話は意外と記憶に残ってくれる。人は情報の羅列よりもストーリーを記憶しやすいものな、と。病態生理もストーリーですものね。

毎朝国試対策委員が予約してくれたバスに乗っていれば遅刻もなく早めに会場入りすることができた。1日目は終了とともに帰る準備をしていたら、監督官の受験票を持ち帰るようにという指示を聞き漏らし、会場に置き忘れてきてしまった。翌朝、会場にある本部に早めに行ったら免許証を見せるだけですぐに返却してもらった。なくしても再発行をできるらしい。この辺りの対応を見ていると、受からせるための試験なんだなという印象を受ける。高額な公費を投じて医師を養成しているわけで、あまり落としても金の無駄になってしまうのだろうかね。

会場が開いてからテストが始まるまではかなり時間があるため、みんな朝は勉強していた。サマライズやラストV講座などの講義資料、自分でまとめたノートをパラパラ見ている人が多かった。トイレに行く時に一々受験票を持って受験部屋から出なくてはいけなかった。面倒なのもあるが、一度などトイレに受験票を置き忘れてきてヒヤッとした。ADHDあるあるだ。

テストの説明や受験者の顔の確認が長く、それが終わった後に何もしない時間が続く。試験時間プラス30分程度は毎回拘束されることになる。この途中でも挙手してトイレに行っていた人がいたように思う。マークシートの形式はカンニング防止のためか、列によってことなるものが配られた。携帯電話は電源を切って配布された袋に入れて監督官から見えるところに置くように言われた。音がなったら袋を没収されるらしいが、それで落ちるとかは言われなかった。マスクはオッケー。顔確認の時にだけ取ることを要求される。鉛筆削りを使いたいときは監督官に申し出るとオッケー。荷物は椅子の下に置くように言われたが、リュックのサイズが微妙で、椅子の下に入りにくく困った。

111回は割問が多かったように感じるが、見覚えのある問題も多く全体としては難しくなかったのだろう。プール問題を落としてマイナスの差が付くと辛そう。とりあえずQBをやっておくのは大事なんだなの印象。割問の中にはKSRのいっていた内容から解けるものも多かった。MTMも的中があったのかもしれないが、身近にテコム派があまりいないのでその辺りはよく分からない。うちの教授はIPMNあたりの分野が専門なので、みんなPDを答えられていたがマトモに学校の勉強をしていなかったためぼくは普通に間違えた。オペ適応しか覚えていない。

分からなかった問題も消去法でみんな似たような解答になっていることが多く、休み時間に友人と答え合わせをするのも安心につながった。休み時間に答え合わせしている人々の中にはトンデモナイことを言っている人もいて、有機リンの治療を選ぶ問題について拮抗薬といえばナロキソンだよねー、などという声も聞こえてきて下には下がいることを知り自分が落ちないことを確信した。これは自信というより予感、そして予感よりも確かなものだ、と刃牙も言っていた。KSR刃牙の話を女の子はどんな気持ちで聴いているんだろう。ハグして濡れているんだから、刃牙の話はモテるに違いない。僕も大切なことはみんな刃牙から教えてもらった。

最終日はもうこれで勉強もしばらく終わりだ、という開放感からおまたが大洪水だった。3回くらいトイレに抜けた。

終わった後は行きつけの飲み屋でグデングデンになるまで飲み、脳細胞をアルコールで焼き尽くしたため、いまもう一度受けたら落ちるのだろうな。みんこれによると、パンリン8割、必修9割だった。模試よりも良い点がとれて満足。何ならセンター試験よりも得点率が良い。

必修落ちが多いであろうことが2ちゃん上で叫ばれているが、解けない問題はみんなとけていないし、深読みしないで解ける問題だけみんなが答えそうな答えを選んで拾えれば運が相当悪くないかぎり落ちないのでは、という感じがする。まあでも、一番緊張する1日目の必修はたしかに難しかったから心折れそうになって、そこから崩れて行く人も多かったのかもしれない。MLFや見難い痙縮の歩行障害の図やナルコーシスなどはなぜこれが必修で? と思ったけどね。心の問題が大きいのだろうかなあと思ったよワシ。

今日の夕方にはメックの解答がでますね
ではではー