ぶたびより

酒を飲み、飯を食べ、文を書き、正解を生きたい

損切りの話

一般的な損切りの話と自分の持っている企業の株を値下がり時にどこで手放そうかなというメモです。

 

 米大統領選挙を控えていることやヨーロッパの一部でロックダウン再開となったことから株価が下落基調になっている。株価が下落したときにいつも考えているのが損切りのラインだ。大きく負けないことの重要性をよく聴く。あとは、「もうこんなに損するのは嫌だ」と撤退しないでプラスの期待値の賭けに参加し続けることなど。

 ポートフォリオで下落率が高いのはSECカーボンオリックスだ。損切りラインについて、以前には買い値から5%下がったら無条件で売りと決めていたんだけれども、このルールに従うと特にボックス相場で微妙な損切りを繰り返してストレスが溜まった。企業価値と自分の買値は無関係だから買値からの値下がり率を基準に売買するのは根拠として弱いというのも確かにある。直近安値を下回る、という方がまだ良いのかもしれない。そうなるとオリックスは1130円くらいで、SECカーボンは5580円を明確に割り込んだら売りかな。ここで損切りするとそれぞれ3万円、6万円程度の損失になる。(オリックス損切りしても優待目的の100株はホールドのつもりでいる)しかし小さな企業のSECカーボンがそれで良いのかは悩ましい。

 流動性の低い時価総額も小さな東証2部銘柄と時価総額2兆円で流動性の良いオリックスを同じ損切りラインにして良いのかという問題はある。流動性の高い銘柄を地合いの悪くダラダラと下降トレンドにいるときにホールドするメリットはあまりないように思っている。というのも、損切りラインに達したところで一旦売却して、それでもどうしても良い企業だと思うなら毎日値動きを眺めて良いタイミングでまた入ったら良いだけで、ここにかかる精神的または実質のコストは損切りした途端に反転して上がってしまった時に機会損失をした気持ちになることと、売買にかかる手数料くらいではないのか。一方で地味で流動性の低い銘柄を地合いの悪い時に損切りするのはあまりいけてないように感じている。勿論購入した根拠が揺らぐ事態であれば素直に撤退するべきだと思っている。これまで不況でも黒字を維持できている割安株だからと購入したのにコロナで赤字をどっさり出したら暴落してても損切りしないといけないと思う。一方で直接その企業に関係ない米国株安につられてとか、株式市場のボラティリティが高くてリスクオフのムードから売られているとか、そういう株価の下落に対してアワアワして損切りするのは流動性の低い小型株においては微妙かなと。というのもその手の企業の株は板が薄いので一旦手放すとなかなか同じような値段で購入できないし、売る時も板が薄いからとても損な印象がある。1000株程度しか売買されていないのに株価がどかっと下がることもあるくらいですし。おすし。

 どこで株価が底打ちしてあがるかは絶対に予測できないし、おっ底打ちしたかなと様子見で買ったところが底打ちした値段なのかデッドキャットバウンスなのかは誰にも分からない。誰にも分からないことを分かると誤解することは愚かだと思う。ただ企業価値以上に売り込まれているかどうかはある程度判断できるように思う。暴落時に換金性の高い資産から負債を引いた額を発行済み株式数で割った一株あたりの価値が業績が悪化したとは言え黒字の企業において大幅に割り込んでいたらそれは底打ちしてなくても僕なら購入の対象にしてしまう。株式の良いところは流動性とか換金のしやすさにあるので、流動性の低い地味な銘柄はそれだけで嫌われる傾向にある。むしろ暴落時にこそ流動性の低い名柄を仕入れるべきなんだろうなと思う。

 そういえばこのブログに名古屋電機をチマチマ買い増してますという記事を書いたすぐ後に三菱UFJが名古屋電機の大量保有報告書を出して一気に上がってしまった。もう少し買い増ししたかったのに。予測可能なカタリストが特にない資産バリュー銘柄もたまにこうやって上がることがあるんだなと思った。ネットネット株まで行くとかなり不人気銘柄ばかりでそういうのも好きなんだけど、それなりに事業価値も大切にしたいので業種の地味さと流動性の低さから低PERとなっている企業も好き。ネットキャッシュ22.4億円で株式時価総額33億円になっている暁飯島工業を拾い集めていたのも、安定的に黒字を積み重ねて株主資本がどんどん厚くなっているからだ。赤字が出そうなら売るけれど、40%増益なので来期減益予測でも余裕で黒字となると絶対に売りませんね。個人投資家としては配当金と株価に目がいくんだけれど、よくよく考えてみると会社自体を保有しているわけなので、自己資本がどんどん積み増しされていて株価がそれに見合わない動きならば別にいつ購入して良いのだと思うの。どうせ市場での株価の上下は予測できないのだから。客観的にわかる資産価値と株価の解離に目をつけることは、コイン投げのチャンピオンよりは勝ちやすい気がする。株式投資を続けること自体、プラス7%の利回りを中心にリターンが正規分布するのでコイン投げやダーツで売買する長期投資家もほとんどの場合勝てるんだけれども、安全性を考えるなら黒字が続く資産バリュー株なのだと思う。あと僕は世間知らずだから、事業価値や成長性の評価が苦手なの。

 そう考えると、名古屋電機はそろそろ全ての持株を利確しても良い気がする。40%程度買値から値上がりしてしまったので、もとのバリュー感まで戻るのにこのままの自己資本の積み増しでは何年もかかってしまう。事業価値については評価苦手なのでしていない、インドでスマートシティ開発とかしてるらしいのでそのあたりを評価したいなら残り200株しか持ってないので遊びで持っていてもいいかなとか。知多鋼業は下がるなら買い増ししたい。86%減益だけど赤字にはなっていないし、86%減益の決算が出ても株価が微動だにしない。不況時に安心してホールドできるのはシケモク資産バリュー株の良いところなんだろうな。

 三菱商事は指標的に割安高配当株で流動性の高い大型株だからというだけでずっと購入しようと思っていて、そうこうしているうちにバフェットが商社株を購入したニュースが流れてきて値上がりして買えなくなってしまった。ここ数日下落していてバフェット以前の値段に戻したので購入した。脱炭素社会がどうとかの話もあって先行き不透明感が否めないけれども、資源価格に影響を受ける市況株の側面が大きい印象なのにそれほど業績悪くなかったのでインカムゲイン目的に購入している。損切りラインは直近安値2150円を割り込んだところかな。2.5万円くらいの損切りかね。

 現状だと損切り考えている企業はそのくらいかしら。那須電機鉄工はコロナでクソほど売り込まれてずっとだらだら下げていたのを最近25日平均移動線を明確に超えたところで購入した。流動性が低いので損切りはできない。購入した理由は5Gによる基地局増加、下がっていた理由はめちゃくちゃな減益(去年の利益に土地の売却益が含まれていたので)と流動性が低い買い手不在の銘柄に5G期待先行でイナゴがあつまって購入して爆死した、というあたりだと思う。

 日本インシュレは地味高配当安定した業績のバリュー株なので購入した。現金を貯め込みまくってる企業ではないけれど、こういう地味で堅実な高配当株を一つくらい持っていてもよいかなと思って購入してみた。流動性が低い小型株なので黒字である限り損切りはしない。