ぶたびより

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購入株ふりかえり:知多鋼業

この文章を読んで損失を被っても筆者は一切の責任を負いません。

 

追記:利回りはDCFではCAPMで求めるのが一般的なんだと思いますが僕は市場別のPER平均で補正するべきではないかとこの記事を書いた時に述べていました。これは株式市場への期待利回りが上場している市場によって異なるのではという話です。

 

訂正:日経平均は株価平均型で時価総額加重平均ではありませんでした。うまく説明できませんが時価総額加重平均の方が良さそうなので、TOPIX名証二部の平均PERを出せると良いのだと思いました。

 

 誰も見向きもしない銘柄が好きだ。限界まで下がっているからリスクが低い。誰も見向きもしないだけではちょっと足りない。業績が比較的安定していて少なくとも赤字が10‐20年間一度もない、といったことを求める。資産バリュー株であることも求める。換金性の高い資産(売掛金と現金と有価証券、時々莫大な含み益のある不動産)が多いと安全性が高まる。しかし、流動性の低い銘柄ばかりだと損切ができないので、ポートフォリオの組み入れ比率をあまり多くするのも考え物かなと思っている。だからすべての資金を小型で流動性の低いその手の限界シケモク銘柄にいれることはできない。当然オリックスとか三菱商事みたいな流動性の高い(キャピタルゲインが狙えるかわからないけれど)高配当バリュー株にも投資することになる。

 知多鋼業は車のバネを作っている会社だ。事業内容は地味だから、何年後かに10倍の利益を出すなんてことは絶対にない。夢がない。しかし株式投資の本来の意味を考えると、1%ある会社の株式を保有しているということはその会社の資産も含めて1%保有していることになる。10年で資産が2倍になったのに株価が同じならば、企業の価値からみると株価が半額セールしているようなものだ。知多鋼業はそういった意味でバリュー感が非常に高い。配当は2%強なので可もなく不可もなく。しかし下値が限定的だと思える銘柄というのは良い。銀行に預けるよりもはるかに増えるし、コロナ前くらいの株価までは戻す可能性がある。

 知多鋼業は組み入れ比率が8%程度。株式投資につぎ込む金額がもう少し増やせれば引き続き8%程度となるようにチマチマ購入していきたい。赤字になったら売りだ。株価が上がらないのに資産が増えていくので購入しているわけであって、いくら割安でも価値が目減りしていくものには投資できないからだ。

 

■おまけ:理論株価計算とか

知多鋼業が大幅に業績が上昇することを僕も含めて誰も期待していないように思う。それでもコロナ禍であっても赤字を出していないのは正直すごい。さて、知多鋼業について企業価値をDCFで計算してみることとする。IRBANKの情報を参考にすると、2009年から2021年予測までの平均で営業CF 10.2億円、投資CF 5.3億円からFCF 4.9億円/年となる。成長しない企業と仮定すると、FCF×期待利回り^(-1)となる。ここ期待利回り(=割引率)というのが非常に厄介。個人的にはこの期待利回りを厳密に計算できればかなり質の高い企業価値の推算が可能だと思っている。感覚的にはどこの市場に上場されている銘柄なのか(東証一部か名証二部かでPER平均が違うはずなので、市場による期待利回りの補正が必要だろう)、業界(景気敏感性などの補正になる)あたりで良いように思う。本当はさらに財務状況(自己資本比率が高いと利回りを高く設定するべきなのだと思われるが、どの程度高くすれば良いのかよくわからない)を加えると良いのだと思う。だから方法としては名証二部銘柄の平均PERを算出する(それぞれの企業の時価総額で補正するべきかどうかは検討の余地あり)してPER(M2)とする。次に東証一部銘柄の平均PERを算出する。(あるいはここで日経225を用いるとしたら時価総額で加重平均PER(M2)もそのようにすべきだ。一番楽なのは日経225だと思われる)仮にPER(N225)を算出したとして、PER(M2:ただし時価総額加重平均)/PER(N225)×N225銘柄の自動車部品企業(そんなものがあるのか?)のPERで適切な理論的知多鋼業PERが算出される。さらにPER=(割引率-利益成長率)^(-1)であるので、利益成長が0であるならば割引率とは理論的に適切なPERの逆数を用いたらよい。

 

知多鋼業のDCFによる事業価値={PER(M2加重平均)/PER(N225)×PER(N225の自動車部品会社:なさそうなので実際にはPER(N225)ではなく東証一部上場企業の時価総額加重平均を用いる必要がありそう)}×FCFave.(=4.9億円)かりに期待利回り20%くらいに設定すれば事業価値は5年でモトを取らないといけないので25億円、資産価値として換金性の高い資産(有価証券と現金と売上債権)が135億円、負債合計が37億円なので資産価値は100億円。とすると企業価値は125億円なのだが、株式時価総額が60億円に過ぎないため半額の状態ということになる。安い理由は地味で期待されていないからだ、解決はされないけれど健全で割安なので2%だけの配当を貰いながらじっくりホールドしておこうと思っている。しかし利回り20%の企業がこの株価で永遠に放置されることがあるのだろうか? あまりにも放置され続けるならTOBMBOも期待できそうだが、そもそも相続税対策の上場であればずっとこんなものなのかもしれない。

 

利回り計算に使う補正のための定数をきちんと調べるのが面倒でできていない。今後行いたいと思う。